ベータ崩壊
ベータ崩壊は弱い相互作用によって原子核の陽子と中性子のバランスを変えます。アルファ崩壊と違って質量数 A はそのままでも、原子番号 Z が1変化します。放出される電子や陽電子は核内に保存されていた粒子ではなく、崩壊で生成されます。
β⁻ は中性子を陽子へ変える
β⁻ 崩壊では n→p+e⁻+ν̄e。核全体では (A,Z)→(A,Z+1)+e⁻+ν̄e です。A は変わらず Z が1増えます。完全な過程では電荷、エネルギー、運動量、角運動量が保存されます。
β⁺ と電子捕獲
β⁺ 崩壊では陽子が中性子へ変わり、陽電子と電子ニュートリノが生成されるため Z は1減ります。電子捕獲では原子核が原子電子を取り込み、陽子が中性子へ変わってニュートリノを放出します。どちらも中性子・陽子比を反対方向へ調整する弱過程です。
連続スペクトルとニュートリノ
もし娘核と電子だけが生成されるなら、一定の核遷移で電子エネルギーはほぼ一定になるはずです。しかし実験では連続スペクトルになります。利用できるエネルギーと運動量が電子、ニュートリノ、娘核の反跳に分配されるためで、ニュートリノは保存則を満たすための不可欠な成分です。
物質中でのベータ粒子
ベータ粒子はアルファ粒子よりはるかに軽く、多くの場合より遠くまで進みますが、原子核の電場で曲げられたり電子との衝突でエネルギーを失ったりします。透過距離は粒子エネルギーと物質に依存します。放射能、粒子エネルギー、幾何学、曝露条件を単一の「強さ」にまとめることはできません。
例題
1. β⁻の娘核を求める
解答
炭素14は A=14、Z=6。β⁻後は A=14、Z=7 となり窒素14です。
2. β⁺を区別する
解答
β⁺では A は変わらず Z が1減ります。A=22、Z=11 なら娘核は A=22、Z=10。
3. スペクトルを説明する
解答
同じ核遷移でも、利用可能なエネルギーが電子、ニュートリノ、反跳へ毎回異なる割合で分配されるため電子の運動エネルギーは異なります。