核分裂
核分裂では重い原子核が二つの軽い核分裂片へ分かれ、通常は複数の中性子も放出されます。重要なのは「二つに割れる」という図だけではなく、核種の帳尻、結合エネルギー、Q値、そして中性子増倍率です。
中性子捕獲から二つの核分裂片へ
²³⁵U が中性子を吸収すると、まず励起した複合核ができます。核は変形し、二つの主要な核分裂片と通常2〜3個の中性子に分かれます。核分裂片は毎回同じ一組ではなく、実験では質量数にわたる分布として観測されます。
核反応式では質量数 A と原子番号 Z の両方を保存しなければなりません。
約200 MeVはどこから来るか
非常に重い親核より、核分裂片の方が平均結合エネルギー/核子が大きくなるため、生成物の総静止質量はわずかに小さくなります。差は Q=Δmc² として、主に核分裂片の運動エネルギー、中性子、γ線、後続崩壊のエネルギーへ移ります。典型的な総量は約 200 MeV です。
質量が消えたのではなく、全エネルギーの別の形へ移ったと考えるのが正確です。
中性子が連鎖反応を維持できる理由
核分裂で放出された中性子が別の核分裂を起こせば連鎖が続きます。有効増倍率 k は世代ごとの中性子数を表し、k<1 なら減衰、k=1 なら平均一定、k>1 なら増加します。
「臨界」は k=1 を意味するだけで、爆発と同義ではありません。漏えい、吸収、幾何形状、中性子エネルギーも重要です。
即発成分と遅発成分
大部分の中性子は核分裂直後に出る即発中性子です。一方、一部の核分裂生成物がβ崩壊した後に出す遅発中性子もあります。割合は小さいものの、原子炉を制御できる時間尺度を大きく延ばします。
核分裂片は中性子過剰であることが多く、その後のβ崩壊やγ放出もエネルギー収支の一部です。
例題
1. 核反応式を確認する
解答
²³⁵U+n→¹⁴¹Ba+⁹²Kr+3n では、左辺 A=236、Z=92、右辺も A=141+92+3=236、Z=56+36=92 です。
2. k=0.97を解釈する
解答
次世代に残る有効中性子が平均97%なので、連鎖反応は徐々に消えていきます。
3. エネルギー源を示す
解答
生成物の総静止質量が小さく、平均してより強く結合しています。その差が運動エネルギーやγ線などになります。