偏光
偏光は横波の振動方向がどのようにそろっているかを表します。光では主に電場ベクトルの振動方向を扱います。偏光子、液晶表示、偏光サングラス、光学計測を同じ考えで結びつけられます。
偏光は光が横波であることを示す
非偏光は「電場の方向がない」という意味ではありません。観測時間の中で横方向がさまざまに変化し、固定された優先軸がない光です。直線偏光では電場の振動方向が一定です。光の進行方向に対し E⃗ は横向きで、偏光はその横断面内の向きを記述します。 電磁波では磁場も横方向に振動し、電場・磁場・進行方向は互いに直交しますが、通常の偏光光学では E⃗ の向きを偏光方向として定義します。理想流体中の通常の音波のような縦波には同じ横方向自由度がないため、回転した偏光子で同じように選別できません。
偏光子は一つの振動軸を選ぶ
I = Iunpol / 2
理想的な直線偏光子は、入射電場のうち透過軸に沿う成分だけを通します。完全な非偏光では横方向が平均的に等しく現れるため、最初の理想偏光子の平均透過強度は I = Iunpol/2。通過後の光はすでに直線偏光なので、後続の偏光子ごとに機械的に 1/2 を掛けるわけではありません。 最初の偏光子で 1/2 になることも投影から導けます。ある方向に対する電場振幅は E=E₀cosθ、強度は振幅の二乗に比例します。ランダムな全方向について平均すると ⟨cos²θ⟩=1/2 です。この平均は非偏光入力に対して一度だけ使います。
マリュスの法則
I = I₀ cos²θ
すでに直線偏光した強度 I₀ の光に対し、偏光方向と検光子の透過軸の角を θ とすると I = I₀ cos²θ です。θ = 0° で理想透過は最大、90° でゼロです。I₀ が最初の偏光子を通過した後の強度なら、もう一度 1/2 を掛けてはいけません。 マリュスの法則の二乗は経験的な補正ではなく、電場振幅を一度投影し、その振幅の二乗が強度になることから生じます。I∝cosθ としてしまうと振幅とエネルギー流を混同します。理想的に直交した二偏光子はゼロですが、その間に第三の偏光子を入れると段階的な投影により非ゼロの透過が生じます。
マリュスの法則
反射でも偏光が生じる
非金属表面からの反射は特定の偏光方向を優先することがあり、偏光サングラスが道路や水面の反射眩光を弱める理由です。ブリュースター角では反射光と屈折光が直交し、理想条件では反射光が一つの向きに完全偏光します。実際の偏光子には吸収・散乱・有限な消光比があります。 偏光による眩光低減は単に全ての光を暗くすることではありません。反射光で優勢な偏光成分を選択的に弱め、他の方向の光をより多く残します。この選択性が通常の中性濃度フィルタとの重要な違いです。
マリュスの法則を使う前の三つの確認
計算前に三つ確認します。現在の素子に入る光はすでに偏光しているか、検光子直前の偏光方向はどこか、θ はその方向と透過軸の間の角か。伝播方向との角を使ったり、非偏光に対する 1/2 を二重に適用したりしないことが重要です。 実験では透過軸の表示方向、実際の偏光方向、素子固有の非理想透過も区別します。相対強度が与えられたら I₀ がどの段階を基準にしているか確認し、絶対強度なら各素子での比率を順に追跡します。
例題
1. 60° の検光子
強度 80 W·m⁻² の直線偏光が、偏光方向に対して 60° の検光子に入ります。
解答
I = 80 cos²60° = 20 W·m⁻²。
2. 最初の理想偏光子
100 W·m⁻² の理想的な非偏光が最初の理想偏光子を通ります。
解答
平均透過強度は半分なので 50 W·m⁻²。
3. 続く検光子
最初の偏光後に 60 W·m⁻² の直線偏光があり、30° の検光子を通ります。
解答
I = 60 cos²30° = 45 W·m⁻²。ここで 1/2 は追加しません。