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イオン化エネルギー

イオン化エネルギーは孤立した気体原子またはイオンから電子を取り去るのに必要なエネルギーです。周期的傾向は、有効核電荷、軌道エネルギー、遮蔽、電子対形成を同時に見ることで初めて説明できます。

X(g)+ エネルギーX⁺(g)e⁻X(g) → X⁺(g) + e⁻
イオン化は吸熱的な分離過程。 標準的な原子イオン化エネルギーは気相で定義されます。

第一イオン化エネルギーは気体原子について定義する

基底状態の中性気体原子から最も弱く束縛された電子を除く過程 X(g)→X⁺(g)+e⁻ に対応します。kJ mol⁻¹ または eV/粒子で表されます。金属中や溶液中の電子除去には別の相互作用が加わるため同じ量ではありません。

周期内では全体として束縛が強くなる

主族周期では核電荷が増える一方、追加価電子は同じ主殻に入ります。同殻遮蔽は不完全なので Z_eff が上がり、価軌道が縮み、右へ行くほど電子を取り去りにくくなるのが基本傾向です。

第一イオン化エネルギーB:2p 電子で低下O:対電子の反発で低下
傾向は滑らかな直線ではありません。 B と O の低下は副殻エネルギーと対電子反発で説明できます。

B と O は軌道の詳細が重要なことを示す

Be → B

Be は 2s²、B は 2s²2p¹。2p 電子は 2s より高エネルギーで浸透が小さいため、核電荷が増えても B の電子は取り去りやすくなります。

N → O

N は3つの 2p 軌道が一つずつ占有。O の4個目は一つの軌道で対を作るため電子間反発が増え、第一イオン化がわずかに容易になります。

族を下ると外側電子は遠く、遮蔽も強い

より大きい主殻と増えた内殻遮蔽が核電荷増加を上回り、第一イオン化エネルギーは一般に低下します。Li から Cs へのアルカリ金属が代表例です。

逐次イオン化エネルギーは殻構造を示す

電子を失った正イオンでは残りの電子が強く束縛されるため IE₂>IE₁、IE₃>IE₂ と増えます。特に大きな飛躍は閉殻内殻へ入り始めた印です。

IE₁IE₂IE₃3回目は Ne 型内殻から電子を取り去る
Mg では IE₃ が大きく跳ね上がります。 最初の2回は 3s 価電子、3回目は Ne 型内殻からの除去です。

イオン化エネルギーと光電子分光は関連する物理を測る

光電子分光では既知エネルギーの光で電子を放出し、運動エネルギーから束縛エネルギーを求めます。第一イオン化エネルギーは最も弱く束縛された占有準位に対応し、スペクトル全体は深い殻も見せます。

イオン化エネルギーと電気陰性度は同じではない

前者は孤立気相粒子からの電子除去エネルギー、後者は結合中の電子密度を引く尺度です。似た周期傾向はあっても互換ではなく、実際の反応性も結合、格子、溶媒和、速度論を含みます。

イオン化エネルギーには直接の分光学的尺度がある

1 eV/粒子 ≈ 96.485 kJ mol⁻¹。光子の hν=hc/λ が閾値に達すると光イオン化できます。高いイオン化エネルギーほど閾値周波数が高く波長は短い。束縛状態間のスペクトル線とは異なり、イオン化は連続状態へ出ます。

4s と 3d を使う前に記号を読む

数字:3 または 4

数字は主量子数 n。4s は n=4、3d は n=3 の主殻に属します。n が大きいほど通常は空間的に広がりますが、多電子原子のエネルギーは n だけで決まりません。

文字:s または d

文字は副殻を表します。s は1軌道で2電子、d は5軌道で10電子まで。角運動量と空間分布が異なります。

なぜ 4s が 3d より先に入るのか

Ar 内殻から K、Ca を組み立てる状況では空の 4s が空 3d よりわずかに低エネルギーです。したがって K:[Ar]4s¹、Ca:[Ar]4s²、Sc:[Ar]3d¹4s²。[Ar] は 1s²2s²2p⁶3s²3p⁶ の省略です。

3d が埋まるとエネルギー順序が変わる

構築順序は固定された永久的な階段ではありません。3d 占有が進むと反発、遮蔽、軌道収縮により 3d が 4s に対して安定化し、占有 4s はより外側に残ります。

エネルギー4s3d(空)4s3d(占有)K, Ca:4s が先に入る遷移金属:4s が先に外れる
4s が先に入ることと、イオン化で 4s が先に外れることは矛盾しません。 電子占有条件が異なるからです。

Fe は [Ar]3d⁶4s² と書かれ、Fe²⁺ ではまず2つの 4s 電子、Fe³⁺ ではさらに1つの 3d 電子を失います。

イオン化エネルギーとのつながり

電子を一つ除くたびに残る軌道のエネルギーと分布が緩和します。遷移金属の ns と (n−1)d は近いので、電子配置で最後に書いた記号を機械的に消してはいけません。

演習:V

V は [Ar]3d³4s²。V²⁺ の配置はどうなりますか。

解答

二つの 4s 電子が先に失われ、V²⁺:[Ar]3d³ です。4s が充填時に先だったことは、電離時に 3d を先に除くという意味ではありません。

イオン化エネルギーは酸化数を制約するが決定しない

逐次イオン化の大きな飛躍は閉殻内殻の手掛かりですが、化合物の酸化状態は反応全体のエネルギーで決まります。格子形成、結合、溶媒和が高いイオン化コストの一部を補えるためです。

測定値は分光データであり、傾向線に合わせた値ではない

イオン化エネルギーはスペクトルや閾値測定から実験的に決定されます。単純な周期傾向から外れる測定を「例外」として無視するのではなく、Be/B や N/O のように電子構造モデルを精密化する材料として扱います。

演習

Be と B

第一イオン化エネルギーが低いのはどちらですか。

解答

B。末端の 2p¹ 電子は Be の 2s 電子より高エネルギーで浸透が小さく、除去しやすいからです。

N と O

核電荷が大きい O の第一イオン化エネルギーが N より少し低いのはなぜですか。

解答

O では 2p 軌道の一つに電子対が生じ、その反発で一方が外れやすくなります。N の 2p³ は各軌道が単独占有です。

逐次エネルギー

第2と第3イオン化の間に巨大な飛躍がある場合、価電子について何を示唆しますか。

解答

比較的取り去りやすい価電子が2個あり、3個目は強く束縛された内殻から除くことを示唆します。