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アルファ崩壊

アルファ崩壊は、重い不安定な原子核がアルファ粒子、すなわちヘリウム4原子核を放出する核変換です。核種の帳尻は単純ですが、実際の物理にはエネルギー保存、反跳、量子トンネル効果が関わります。

核種の帳尻

アルファ粒子は陽子2個と中性子2個からなります。親核の質量数を A、原子番号を Z とすると、娘核は A−4、Z−2 です:(A,Z)→(A−4,Z−2)+⁴₂He。核子数と電荷は両辺で保存され、Z が2減るので元素は周期表で2つ左へ移ります。

A , Z娘核A−4 , Z−2α粒子
α崩壊では A が4、Z が2減ります。完全な核反応式では核子数と電荷が保存されます。

放出エネルギーはどこへ行くか

生成物の全静止質量が親核より小さければ、その差が放出エネルギーになります。親核の静止系では娘核とアルファ粒子は等しい大きさで反対向きの運動量を持ち、娘核がはるかに重いためアルファ粒子が運動エネルギーの大部分を受け取ります。明確な核準位間の遷移ではアルファ線のエネルギーはほぼ離散的です。

α粒子のエネルギークーロン障壁量子トンネル
α粒子はクーロン障壁を古典的に完全に乗り越える必要はありません。量子トンネル効果が有限の脱出確率を与えます。

Q>0 でも半減期が長くなり得る理由

エネルギー的に許されることと、速く起こることは別です。アルファ粒子に似たクラスターは娘核を囲むクーロン障壁を抜ける必要があります。古典的には越えられないエネルギーでも量子トンネルにより有限の脱出確率があり、その確率はアルファエネルギーに極めて敏感です。

物質中でのアルファ粒子

アルファ粒子は比較的重く +2e の電荷を持つため、物質を強く電離して急速にエネルギーを失い、飛程は短くなります。しかし短い飛程だけで危険性を判断してはいけません。放射性物質が体外か体内か、どこへエネルギーを与えるかが重要です。透過力と生物影響は別の問いです。

例題

1. アルファ崩壊式を完成する

解答

ウラン238は A=238、Z=92。α放出後は A=234、Z=90 なので娘核はトリウム234です。

2. 保存則を確認する

解答

A=226、Z=88 の親核なら娘核は A=222、Z=86。α粒子の A=4、Z=2 を加えると元の値に戻ります。

3. 反跳エネルギーを比べる

解答

α粒子と娘核の運動量の大きさは等しいため、より軽いα粒子が運動エネルギーの大部分を受け取ります。