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電子親和力

電子親和力は「中性の気体原子に電子を一つ付加すると、どのようなエネルギー変化が起きるか」を問う量です。核引力は付加を有利にし、遮蔽・軌道の大きさ・電子間反発は逆向きに働くため、周期的な傾向には意味のある凹凸があります。

定義と周期的パターン

定義と符号の約束

第一電子付加は X(g)+e⁻→X⁻(g)。Mendeleev では比較の際に「放出されるエネルギーを正」とする電子親和力の慣例を用います。一方、熱化学表では発熱付加を負の ΔH で表すことがあります。数値は符号規約とセットで読む必要があります。

電子親和力は孤立気体原子の量で、結合中の電子密度を引く電気陰性度とは異なります。

周期傾向と例外

周期内では有効核電荷の増加により一般に電子付加が有利になります。族を下ると軌道が大きく遮蔽が増え、引力は弱まる傾向があります。第2族、第15族、希ガスでは安定な副殻占有のため単純な滑らかな傾向から外れます。

電子付加が有利 ↑ハロゲン閉殻
電子親和力の傾向には電子配置の構造が現れます。

F と Cl

F は Cl より電気陰性度が高いのに、第一電子親和力は Cl の方が有利です。F の非常にコンパクトな 2p 領域では追加電子への反発が大きく、Cl の広い 3p では混雑が小さいためです。

N: 2p³O: 2p⁴F: 2p⁵↑ ↑ ↑↑↓ ↑ ↑↑↓ ↑↓ ↑半充填:次は対を作る対形成が始まる空きは一つ
半充填や電子対形成が局所的な例外を生みます。

孤立原子からイオン結晶へ

第一と第二の電子付加

第二付加 X⁻(g)+e⁻→X²⁻(g) は、負イオンに電子を近づけるため気相では必ず不利です。それでも O²⁻ や S²⁻ が結晶中で安定なのは、陽イオンとの強い静電引力による格子安定化が加わるからです。

Born–Haber サイクルとイオン固体

固体形成のエネルギー収支には原子化、イオン化、電子付加、格子形成など複数項があります。電子親和力が有利でも、それだけで化合物形成を保証しません。

測定と解釈

何が分かり、何が分からないか

孤立原子が一電子を受け取る比較、ハロゲン、周期傾向、Born–Haber サイクルには有用ですが、全反応性、結合型、水溶液安定性、好ましい酸化状態を単独で予測する量ではありません。

有用な用途

気相一電子付加の比較と、原子電子構造を熱化学の一段階に結びつけることです。

単独では不十分

実反応には結合切断、溶媒和、格子エネルギー、イオン対、反応速度などが含まれます。

電子親和力はどう測るか

自由電子が原子へ付く様子を直接測るのは難しいため、逆反応の光脱離を利用します。負イオンから電子を光で外す閾値が、その余分な電子の束縛エネルギーを与えます。

数値で例外を見る

Cl は電子獲得で約 3.6 eV、F は約 3.3 eV を放出します。N は半充填 2p³ のため不利、希ガスは次の主殻へ入れる必要があり不利です。F/Cl は周期性の失敗ではなく、核引力と電子混雑の競争です。

エネルギー単位と尺度

1 eV/粒子 ≈ 96.5 kJ mol⁻¹。Cl の 3.6 eV は約 350 kJ mol⁻¹ の放出に相当しますが、イオン化・結合・溶媒和・格子形成を含む全体の一項にすぎません。

電子親和力を使う

ジグザグを暗記せず第3周期を読む

Na 3s¹ への電子付加はある程度有利、Mg 3s² では次の電子が 3p に入るため不利、Al で 3p 充填が始まり再び有利になります。P 3p³ は半充填で次電子が対を作るため局所的に変化し、Cl では 3p⁶ を完成させ強く有利。Ar は閉殻なので次の主殻へ入る必要があり急変します。

イオン・酸化還元とのつながり

ハロゲンが X⁻ を作りやすい理由の一部は説明できますが、標準還元電位は特定条件の半反応全体の自由エネルギーで、溶媒和や結合変化も含みます。原子電子親和力から直接求めることはできません。

演習

F と Cl

第一電子親和力がより有利なのはどちらですか。

解答

Cl。F のコンパクトな 2p 領域では追加電子が強い電子間反発を受けます。

窒素

N が滑らかな周期傾向から外れる理由は。

解答

N は半充填 2p³。追加電子は既占有 p 軌道で対を作る必要があり、反発が増えるためです。

酸化物

第二気相電子付加が不利なのに O²⁻ が結晶中で一般的なのはなぜですか。

解答

イオン格子で陽イオンとの引力が O²⁻ を強く安定化し、不利な気相段階を補償できるからです。