流れと連続の式
連続の式は、まず「管の公式」ではなく質量保存の表現です。この考えを押さえると、収縮部、分岐、ノズル、圧縮性流れも同じ保存則の変形として理解できます。
体積流量と質量流量
Q = dV/dt = Av · ṁ = ρAv
断面積 A の面を考えます。短い時間 Δt に、平均法線速度 v の流体は約 vΔt 進むため、通過体積は ΔV=AvΔt。したがって Q=dV/dt=Av で、Q は体積流量、SI 単位は m³·s⁻¹ です。密度を ρ とすれば質量流量は ṁ=ρAv。密度が変わる場合でも保存されるのは質量なので、こちらがより一般的です。狭い断面で速度が上がるのは、同じ非圧縮性流れが連続して通る場合の帰結であり、「狭い管なら必ず速い」という一般則ではありません。
連続の式は質量保存
ρ₁A₁v₁ = ρ₂A₂v₂
定常流で一つの入口と一つの出口をもつ検査体積を考え、内部に質量が蓄積しないなら、質量流量は一致します。ρ₁A₁v₁=ρ₂A₂v₂。非圧縮性流体なら ρ₁=ρ₂ なので A₁v₁=A₂v₂=Q。面積が 1/4 になると平均速度は4倍です。式に入るのは直径ではなく面積であることが重要です。
例題:ノズル
直径 3.0 cm のホースを水が 1.5 m·s⁻¹ で流れ、直径 1.0 cm のノズルへ入るとします。A∝d² より A₁/A₂=(3.0/1.0)²=9。したがって v₂=9×1.5=13.5 m·s⁻¹。直径が3分の1になると面積は9分の1になるため、速さは3倍ではなく9倍になります。
分岐と蓄積
定常な非圧縮性分岐
蓄積のない分岐では Qin=Q₁+Q₂+…。流出の合計が流入に等しいのであって、各枝の流量が同じである必要はありません。
一般の質量収支
一般には ṁ流入 − ṁ流出 = dM内部/dt。タンクが満たされたり空になったりしている最中は、その瞬間の流入と流出は等しくなくてもかまいません。
連続の式の局所形
管の式は、より一般的な場の方程式 ∂ρ/∂t+∇·(ρu)=0 の特別な場合です。第1項は局所的な密度変化、発散項は小領域から質量流束が出ていくか集まるかを表します。非圧縮性流れではしばしば ∇·u=0。ここで非圧縮性とは、流体要素が移動しても密度がほぼ変わらないという意味で、どの場所でも常に同じ密度値でなければならないという意味ではありません。
連続の式とベルヌーイの式は別物
連続の式
質量保存から導かれ、ρ、A、v を結びます。
ベルヌーイの式
追加の仮定のもとでのエネルギー収支から導かれ、流線に沿って圧力、速さ、高さを結びます。収縮によって連続の式から速さの増加は分かっても、圧力は連続の式だけでは決まりません。
実験とモデルの限界
出口の流体を一定時間集めれば、体積を時間で割って Q を測定できます。内径から A を求めれば平均速度 v=Q/A。異なるノズルで繰り返せば面積と速度の関係を直接検証できます。A₁v₁=A₂v₂ は定常・非圧縮性・漏れなし・区間内蓄積なしを仮定します。密度が大きく変わる気体は ρAv、充填中のタンクは蓄積項、漏れがある配管は漏れを追加の流出口として扱います。
演習
管の収縮
非圧縮性液体が 6.0 cm² の断面を 2.0 m·s⁻¹ で流れ、2.0 cm² に狭くなります。新しい平均速度は?
解答
A₁v₁=A₂v₂ より v₂=(6.0/2.0)×2.0=6.0 m·s⁻¹。
分岐
12 L·s⁻¹ の定常非圧縮性流れが分岐に入り、一方が 4 L·s⁻¹ です。蓄積がなければもう一方は?
解答
Q₂=12−4=8 L·s⁻¹。
圧縮性流れ
気体の密度が大きく変化するとき、A₁v₁=A₂v₂ だけでは不十分なのはなぜですか。
解答
密度が変化すると体積流量は保存されないためです。定常な一入口・一出口では ρ₁A₁v₁=ρ₂A₂v₂ を使います。